長野県箕輪町で買取させていただいた、MAMIYA-SEKOR C 80mm 1.9 Nをご紹介します。
マミヤ光機株式会社は、1940年5月に東京都文京区(当時の東京市本郷区)にマミヤ光機製作所として設立されました。発明家の間宮精一の技術と、菅原垣二郎の資本を元にカメラ製造を開始しました。
1984年、海外でのカメラ販売を手掛けていた主要株主の大沢商会が倒産し、会社更生法に基づく更生手続きを開始。この期間中、35mmフィルムカメラ(ミラクルマウントを搭載したマミヤZEシリーズ)の生産を中止し、中判カメラの製造に集中しました。
その後、1992年マミヤ光機が釣具機器メーカーのオリムピックに吸収合併され、1993年社名をマミヤ・オーピーに変更。合併後も「Mamiya」ブランドのカメラは継続されています。

Mamiya SEKOR C 80mm f/1.9 Nは、Mamiya M645シリーズ用に設計された中判フィルムカメラ用の大口径標準レンズです。1970年代に登場し、現在でも「銘玉」として高い評価を受けています。特に開放F値1.9という明るさは中判レンズとしては非常に珍しく、ポートレート撮影において圧倒的なボケ味と立体感を生み出します。

このレンズはMamiya M645マウントを採用しており、M645、M645 1000S、M645 Super、M645 Pro TLなどのフィルムカメラに装着可能です。また、マウントアダプターを使用することで、富士フイルムGFXシリーズなどのデジタル中判カメラにも対応できます。
描写の特徴としては、開放時のとろけるようなボケと、ピント面のシャープさのコントラストが際立ちます。特に肌の質感や髪の毛のディテールを美しく再現し、背景を柔らかく溶かすことで被写体を浮き立たせる効果があります。絞ることで周辺まで均一な解像力が得られ、風景やスナップにも対応可能です。

焦点距離80mmは中判では標準域に相当し、35mm判換算で約50mm前後。広角ではありませんが、自然な遠近感と圧縮効果のバランスが良く、ポートレート、静物、日常のスナップなど幅広いジャンルに適しています。重量は約420gと中判レンズとしては比較的軽量で、屋外撮影にも向いています。
【スペック】
| 項目 | Mamiya SEKOR C 80mm f/1.9 N |
|---|---|
| マウント | Mamiya M645マウント |
| 対応カメラ | M645 / M645 1000S / Super / Pro TLなど |
| 焦点距離 | 80mm(標準) |
| 開放F値 | F1.9 |
| フォーカス方式 | マニュアルフォーカス(MF) |
| レンズ構成 | 6群7枚 |
| 最短撮影距離 | 約0.7m |
| フィルター径 | 67mm |
| 重量 | 約420g |
| 特徴 | とろけるボケと高い解像力、立体感のある描写 |
| 最適な被写体 | ポートレート、静物、スナップ |
| レンズの種類 | 標準単焦点 |
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