山梨県都留市で買取させていただいた、AKAI GX-635Dをご紹介します。
AKAI(赤井電機)は、1946年に赤井三郎によって創業されました。1954年には、日本企業として初めてテープレコーダーの開発に成功し、その後、オープンリールデッキやアナログカセットデッキ、VHSビデオテープデッキなどを手掛ける総合AV機器メーカーとして成長を遂げました。特にアナログカセットデッキ分野では、世界で初めてオートリバース機能を採用し、他社製品にも大きな影響を与えました。
しかし、1980年代にデジタルオーディオへの対応が遅れたことから業績が悪化。1994年に香港のセミ・テック・グループの傘下となりましたが、2000年に民事再生法の適用を申請し、経営破綻に至りました。
現在では、AKAIのブランドは音楽制作ハードウェアおよびソフトウェアを提供する「AKAI Professional」として存続しており、MPCドラムマシンやMPK Mini MIDIコントローラーなど、クリエイターに人気の製品を展開しています。

AKAI GX-635Dは、1970年代後半から1980年代にかけて生産された高性能オープンリールデッキで、アナログ録音の黄金時代を象徴する製品の一つです。このモデルは、音質、耐久性、そして操作性において非常に優れ、オーディオ愛好家やプロフェッショナルの間で高い評価を受けてきました。その洗練されたデザインと堅牢な作りは、現在でも多くのファンに愛されている理由の一つです。

GX-635Dは、AKAI独自の「GXヘッド」を採用しています。このヘッドは、高硬度ガラスと低ノイズクリスタルフェライトを使用しており、従来のフェライトヘッドと比べて耐久性に優れ、長期間使用しても音質を損なうことがありません。また、トラックシステムは4トラック、2チャンネルのステレオ構成で、両方向の再生と録音を可能にするオートリバース機能を搭載しています。これにより、テープの反転操作を手動で行う必要がなく、より快適な録音・再生体験を提供します。

音響性能にも重点が置かれており、周波数特性は30Hz~27kHz(テープ速度7 1/2 ips時)と広範囲にわたり、クリアで詳細な音再生を実現しています。特にダイナミックレンジの広さと低歪率が特徴で、楽器やボーカルの微細なニュアンスまで忠実に再現する能力を持っています。録音・再生アンプには最新の電子回路が採用されており、高品質な部品が使用されていることで、音の透明感と豊かさが際立っています。
【スペック】
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| トラックシステム | オートリバース、4トラック、2チャンネル、ステレオ |
| ヘッド構成 | 2 x GX録音、2 x GX再生、2 x 消去 |
| モーター | 2 x リール駆動、1 x キャプスタン |
| リールサイズ | 最大10.5インチ |
| テープ速度 | 3 3/4 ips、7 1/2 ips |
| 周波数特性 | 30Hz~27kHz(7 1/2 ips時) |
| S/N比 | 65dB |
| 歪率 | 0.07%(7 1/2 ips時) |
| 入力 | ライン70mV、マイク0.25mV |
| 出力 | ライン410mV |
| 外形寸法 | 440 x 483 x 256mm |
| 重量 | 21kg |
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