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フィルムカメラが人気の理由。デジカメと比べて何が魅力?
フィルムカメラが今若い世代を中心にブームになっています。撮影の手間も技術もいらないデジタルカメラの方がカメラの敷居が低いはずですが、なぜ今フィルムカメラが人気なのでしょうか。フィルムカメラをあえて選ぶ理由について紹介します。
目次
フィルムカメラとは
フィルムカメラとは、フィルムに写真の像を焼き付けるタイプのカメラのことです。デジタルカメラの場合は、写真の像を電気信号としてデータ化して保存しますが、フィルムカメラの場合は乳剤を塗ったフィルムを化学反応させることで物理的に写真の像を保存します。
現在主流のデジタルカメラが普及を始めたのが2000年代からなので、現在20歳前後の方だとカメラ用のフィルムやフィルムカメラ自体を見たことがない方もいるかもしれません。
デジタルカメラが主流な現在ですが、使い捨てカメラの「写ルンです」やポラロイド写真が撮れる「チェキ」がフィルムカメラの一種として人気が高まったことはありました。これらは手軽にデジタルとは違う風合いの写真が楽しめる製品として今も支持されています。
しかし、2021年現在、本格的なフィルムカメラの人気が大きく高まっています。
フィルムカメラの使い方
フィルムカメラはどのように扱えばいいのでしょうか。大まかな流れは下記の感じでどの機種も大体一緒です。
①フィルムカメラ本体にフィルムを入れる
②フィルムを巻き上げる
③撮影をする
④フィルムを使い終わったらフィルムを巻き戻す
⑤フィルムを取り出す
⑥写真屋に持っていって現像もしくはデータ化
厳密にはフィルム巻き上げの際などに細かい作業があるのですが、機種によっても微妙に違うのでここでは割愛します。
フィルム巻き上げや巻き戻しは耳慣れないかもしれませんが、要は物理的なフィルムを写真の像を焼き付けられる形にセットするということ。1、2回やってしまえば慣れるはずです。
デジタルカメラとの違いは?
デジタルカメラの場合は、電源を入れてシャッターを押すだけで撮影できますし、データ容量が一杯にならない限りは撮影残数を気にせず使い続けられます。また、撮影データもWifiやBluetoothでスマホやPCのアプリに直接転送でき、現像やデータ化の手間もかかりません。
こう比べるとデジタルカメラとフィルムカメラでは撮影前の準備、撮影中、撮影後のデータ処理などの利便性でデジタルカメラに大きな利があることがわかります。
また、デジタルカメラはオート機能が非常に充実しているため、撮影者に特別な技術がなくてもピントは合いますし、周囲の明るさやロケーションに応じて最適な設定をデジタルカメラ側で行ってくれます。つまり撮影者自身の技術はほぼ必要なく、一定のクオリティの写真が撮影できるということです。
一方、フィルムカメラは全ての設定を撮影者側で行わなければなりません。撮影者自身がピントを合わせたり露出を決めたりします。フィルムの選び方によっても出来上がる写真の感じが変わります。手間もかかりますし、いい写真を撮るには技術や知識が必要です。
つまり、デジタルカメラの方がフィルムカメラよりも扱いやすく簡単に良い写真が撮れるということになります。
ここまで読んで「え、でも人気があるということはフィルムカメラの方がデジカメよりも機能面で優れているところが何かあるんでしょ?」と思う人が多いはずです。しかし、ぶっちゃけた話、マシンとしての効率性で見たときにフィルムカメラの方が優れているところはありません。
単純にカメラで一定以上のクオリティの写真を撮影することだけが目的なら、デジタルカメラを使ったほうがいいです。手軽で早くクオリティの高い写真が撮影できます。実際、業務的な撮影の現場でフィルムカメラを使っているカメラマンは皆無です。なぜならその場で写真の感じを確認できないし、セッティングに時間がかかる上に枚数も取れないからです。
しかし、写真を撮影する目的が「撮影すること自体を楽しみたい」「予想できない写真を生み出したい」「アナログ独特の感じが好き」といった、より感覚的なこと。もっと言えば好きか嫌いかで言った時に「うまく説明できないけどなんか好き!」という感情を大事にしたい方は、あえてフィルムカメラを使うのがとても楽しいはずです。
フィルムカメラが人気の理由
フィルムカメラの特徴を踏まえて、なぜ人気なのかを紹介していきます。デジカメと比べたときにデメリットとなっている部分がむしろ好きかどうかが、フィルムカメラを楽しむポイントです。
フォルムや持った感じが好き
フィルムカメラは中にデジタル機器が搭載されていないので、デジタルカメラに比べてとても軽く手に持った時の感触は新鮮です。ちょっとおもちゃのような感じもあります。今出回っている本格的なフィルムカメラは中古品が多いのでレトロな製品が好きな方はしっくりくるかもしれません。
フィルムをセットしている感じが好き
フィルムカメラは中にフィルムが入っていないと撮影できないので、別売のフィルムをセットする必要があります。これもカメラについたダイヤルを回してフィルムを巻き上げたりと、とてもアナログな作業。従来のデジカメに慣れた人には、写真を物に焼き付ける過程を垣間見れる感じで楽しく感じるかも。
撮影の都度フィルムを巻き上げて、カシャってなるのが楽しい
フィルムカメラは連写はできません。一枚撮影したらダイヤルを回して、何も写っていないフィルムに巻き上げないといけないからです。これを面倒と感じずに「写真を撮っている感じがする」「装填している感じがいい」と楽しめるなら、フィルムカメラが向いています。
またシャッターを押すとカシャって鳴り、今確かに撮影したという感じがあります。これはデジカメだと得られない感覚です。
どんな写真が撮れたかわからなくてドキドキする
デジカメの場合は撮影後即データ化されるのでその場で写真を確認できますが、フィルムカメラで撮影した写真は、現像するまで結果がわかりません。さらに、フィルムを使い切る前に現像に出すのはもったいないので、場合によっては撮影してから数ヶ月間結果を見ないこともあり得ます。想定外の写真が撮れていたり、「こんな写真撮った」と思い出して楽しんだり、いったん時間をおくことでデジカメにはないドキドキが生まれます。
撮影の設定をするのが面白い
フィルムカメラはピントや露出、光の準備、場所などをちゃんと設定しないといい写真が撮れません。そのため、自分で試行錯誤して設定する必要があります。一つ一つの設定の意味を知って、自分らしい写真を撮影できるようになる過程が面白いです。また、デジカメのように最適化してくれないことで、逆に味のある写真が生まれるため、必ずしも完璧な準備をしなくてもいい場合もあります。
フィルムを選ぶのが面白い
フィルムカメラのフィルムは現在27枚撮りで大体1本1000円程度です。フィルムカメラが主流だった頃の倍くらいまで値上がりしています。一枚一枚真剣に撮るのも趣味としての楽しみ方です。
また、選ぶフィルムによって表現できる写真の雰囲気が変わります。自分らしい写真を撮影できるフィルムを探していくのも面白いです。
フィルムカメラはカメラ本来の楽しみ方が詰まっている
フィルムカメラは手間はかかるかもしれませんが、撮影する過程を楽しめるのが魅力です。また、自分で様々な試行錯誤をすることで、カメラの仕組みや設定に関する知識もついていくので、デジカメで撮影する時も生かせます。フィルムカメラはカメラ本来の楽しみ方が詰まっています。