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布袋、Hideモデルだけじゃない!80、90年代を彩ったシグネチャーモデルとフェルナンデスについて思いを馳せる

「FERNANDES倒産」

2024年7月13日、あまりにもショックなニュースが日本中を駆け巡りました。

80年代、90年代を彩った日本のロックシーン、そのギタリストの手にはフェルナンデスのギターがありました。

そんなギタリスト達に憧れて、アマチュアもギターを手に取った時代

先輩から譲ってもらった最初のギターがZO-3だった、

初心者用と勧められて買ったのがFR、FGZシリーズだったというのはよくある話だと思います。

筆者も学生時代に、父親が所持していたFGZのディンキータイプのギターを、夜な夜な借りては練習したものです。

今回はそんなFERNANDESの思い出の名機たちを振り返っていきたいと思います。

アンプを通さずエレキサウンドを出せる革新的なミニギター

FERNANDESのギターとして最も有名なのが「ZO-3」ではないでしょうか。

アンプとスピーカーを内蔵し、ギター単体で音を鳴らすことができる画期的なギターです。

コンパクトなボディに可愛らしいデザインも相まって、ギターに興味が無い人でも認識のあるモデル。

ZO-3も幅広いバリエーションを持ち、様々なコンテンツとのコラボレーションモデル、

トレモロアームを搭載した「芸達者」、マルチエフェクターを内蔵した「DIGI-ZO」、

布袋モデル、Hideモデルも存在し、コレクションとして所有する人もいるくらいです。

空間演出、シンセ的な演出をギターで可能としたもう一つの革新

また、もう一つFERNANDESを語る上で外せないのが「サスティナー」

サスティナーとはフェルナンデス社が開発した、電気信号によってサスティーンを伸ばすシステムのこと。

リアピックアップが音を拾うと、通常とおりアウトプットへ送られると同時に

サスティナードライバーにも電気信号が送られ、

それに合わせてサスティナードライバーが磁力駆動によって弦を振動させる、という仕組みで、

電池がもつ限り半永久的に音を伸ばし続けられる機構になります。

使用しているアーティストとして、代表的に挙げられるのが、

日本国内だと布袋寅泰さん、X-JAPANのHideさん、BUCK-TICKの今井寿さん、LUNA SEAのSUGIZOさんになるかと思います。

上記のギタリストのシグネチャーモデルにはサスティナー搭載型もあります。

海外のギタリストでは、スティーブヴァイ、ヴァンヘイレン、スラッシュなどが挙げられますね。

ワウやボリュームペダル等と組み合わせて、空間的な演出に用いられることが多いです。

質の良い廉価版、ミュージシャンが扱う「本物」 両方を成立させる技術と魅力的なラインナップ

今でこそ楽器店のプライベートブランド等でも問題ないくらい、初心者向けのギターも出来が悪くないものが多いですが、

90年代くらいまではお世辞にも良いと言えるものは少なく、放っておいたらネックが大幅に反っていた、なんてことも珍しくはありませんでした。

そんな中、フェルナンデスは安価な廉価モデルでも品質が良く、弾きやすいギターを数多く生産しており、

何本も用意することが難しい学生の練習用としてはマストだったのです。

フェルナンデスはオリジナルシリーズも抜かりありません。

ディンキーシェイプで24F、SSHのPU配置、フロイドローズタイプのブリッジを備えた実戦的なFR、同じディンキーシェイプながらもクビれが深く、HSHや2H等、より好戦的な見た目を持つFGZ、小ぶりなストラトタイプのシェイプをアーチトップにし、テールピースブリッジを備えたAPG、レスポール系をベースとしながらも独創的なボディシェイプを持ったRAVELLE、かの有名な布袋モデルのベースともなった、コンコルドヘッドを持つテレキャスタータイプのTEJ等、幅広いラインナップを持っています。

これらも廉価版が存在し、新品でも6、7万円くらいで購入できるのは大きな魅力でした。

また、フェンダーやギブソン等のトラディショナルモデルについては、BURNYというブランドで展開しています。

(オリジナルシリーズやBURNYまで記述すると長くなるので、またいずれ・・・)

勿論廉価なギターばかりではありません。

一流のミュージシャンがフェルナンデスを自身の相棒として選び、数多くの名曲・名演を繰り広げました。

シグネチャーモデルが多いのもフェルナンデスの大きな魅力の一つです。

日本ではやはりBOOWYの布袋寅泰、X JAPANのHideがその中でも2台巨頭であり、

事実両名のギターはモデル問わず数多く中古市場で見かけますし、

今なおFERNANDESを代表するモデルであることは間違いありません。

しかし、この2名以外にも著名なギタリスト達が使用しておりました。

現在活躍しているようなギタリスト達が影響を受けたバンドマンたちのギターをここからは紹介していきたいと思います。

本人仕様の所謂「ドンズバ」モデルは触ったことがなく、廉価モデルのものとなりますが、

筆者の体験談による私見、バンドの思い出などを交えて綴っていきます。

D’ERLANGER CIPHER(瀧川一郎)モデル RE-95G

D’ERLANGER、CRAZEのギタリスト、瀧川一郎さんのシグネチャーモデルです。

D’ERLANGER(デランジェ)は1983~90年まで活動、その後瀧川一郎さんはCRAZEというバンドで1995年~2006年まで活動しておりました。

解散前のD’ERLANGERではテレキャスタータイプ(TE-85C)を主に使用していた為、

CRAZE時代からこのモデルを使用。

2007年以降D’ERLANGERが復活してからも、引き続き同モデルを使用しています。

メイプルトップ、マホガニーバック、マホガニーネックという所謂レスポールをもとにしておりますが、

背面にカッタウェイ処理がされており、ボディは薄く仕上げられています。

ボルトオンネック、片側6連ヘッドなど、拘られたルックス、

フロントPUのみコイルタップ配線を行い、トーンはフロント・リア共にダミーという尖った仕様。

RE-95Gの品番や色の変化は瀧川一郎さんの愛車だった「マツダ RX-7」をイメージしてギターに反映されています。

 「RE」はロータリー車のカスタムで有名な「RE雨宮」から取っており

RE-95Gには前期、後期でカラーバリエーションに違いがあります。

前期は濃いパープル、後期では明るい青味掛かったパープルとなり、

これはご自身の愛車のカラーの変化がギターのカラーに反映したものになります。

D’ERLANGERは筆者としては世代ではないのですが、

学生時代の友人が好きで、その影響で触れることとなりました。

特に印象的だったのが一郎さんのギターのマウント位置。腰下辺りの低い位置にボディを構えてギターを弾いている姿は非常にカッコイイです。

影響を受けたギタリストとしては、LUNA SEAのINORANさんは有名だと思います。

ESP時代のINORANさんのシグネチャーモデルはパープル系のレスポールタイプであり、INORANさん自体もギター位置はかなり低いです。

この2人の影響で、ギターを低く構えることのカッコよさが定着したのではないかと思います。

自分も後期のRE-95Gを触れた経験がありますが、

薄型のボディにもかかわらず、抜けの良いファットなサウンド特性で、正にロックなギターです。

トーンがダミーなのがいかにもシグネチャーモデルという感じですが、

気にならない方にはおススメできる1本です。

このギターはストラップを長めにして、低い位置で構えたくなりますね。

Janne Da Arc YOUモデル JDA-95Y

90年代後半〜2005年くらいまで活躍していたバンド「Janne Da Arc」のギタリストYOUさんのシグネチャーモデルです。

2002、3年くらいまで使用していた記憶があります。

オリジナルシリーズであるAPGをベースにしたモデルであり、ストラトとレスポールの中間のようなアーチトップのシェイプです。

シグネチャーモデルらしく、コントロールは1ボリュームのみ、シングル/ハム切り替えスイッチ、3WAYのトグルスイッチのみと非常にシンプル。

マホガニーボディ、メイプルネック、2ハムのPUの組み合わせで、ハイ・ローの強いファットなサウンド特性です。

かといっても歪みがダマになるような感じではなく、コードを鳴らしても滲むことはありません。

ダブルカッタウェイのボディにヒールレスカットもされており、ハイフレットでの演奏性も高いです。

ミドルスケールなのも相まって、テクニカルなYOUさんの愛機らしく、プレイヤビリティの高い1本です。

90年代後半~2000年代初頭は所謂ヴィジュアル系が台頭した時代でしたが、

魅力的なバンドが多々ありつつも、演奏技術の高さを売りにしたバンドというのは多くありませんでした。

当時の若手バンドでテクニカルさを売りとしていたのはSIAM SHADE、La’cryma Christiが2大バンドと言われ、HR/HM、プログレッシブロックの流れを組んでいて、楽曲の複雑さ、それを表現する超絶技巧が当時のバンドキッズの憧れでした。

その中に少し遅れて現れたのがJanne Da Arc。

上記2つのバンドに負けず劣らずの超絶技巧さに、タイアップなども多く採用されるくらいにポップな曲のバランスが素晴らしかったです。

また、ギター2人のツインギター編成ではなく、ギター1、キーボード1の構成だった為、また違った魅力がありました。

ツインギターが交互に畳みかけるようなソロこそないものの、音のバリエーションも豊富で、ギターとシンセが絡み合うようなアプローチは、シンセ音でより引き立っているのが魅力的でした。

筆者が現在所有しているギターの1本で、ファットなサウンドを出したい時に使用していました。

小ぶりなシェイプ、ミドルスケールを採用していることもあり弾きやすいギターです。

本来のカラーは深みのある青なのですが、変色してしまったのか、やや濃い緑色のように見えます。

(これはこれで味わいのある色だとは思うのですが)

L’Arc〜en〜Ciel Kenモデル LOVE DRIVER LD-85KK

こちらは日本を代表するロックバンドの一つ

「L’Arc〜en〜Ciel」のギタリストKenさんが、90年代後半に使用していたシグネチャーモデルです。

LOVE DRIVERと名付けられたストラトキャスタータイプ、ピンクラメのボディが印象的な1本です。

ラルクがブレイクして、おそらく一番波に乗っていた98年~00年辺りで使用していたもので、

ミリオンヒットをたたき出した「花葬」「Snow drop」等のMVでその姿を見ることができます。

ラルクの音楽性が初期のニューウェイヴ風のサウンドから、

当時の主流でもあったオルタナティブ寄りになってきた時期で、

ギターサウンドが変化した頃合いに使用していた記憶が強いですね。

形状としては70年代を踏襲したラージヘッドのストラトキャスタータイプ。

ピンクラメのボディが特徴的ですが、退色しやすいカラーでもあり、

市場に出ているものだとシャンパンゴールドっぽい色合いになっているものも多いと思います。

12Fの猫のインレイがワンポイントで非常にかわいいです。

12Fに固有のインレイを配置するシグネチャーモデルは多いですが、その中でも一番良いデザインだと個人的に思っています。

ボディ材にはアルダーを使用し、ワンピースメイプルネックをボルトオンジョイントしています。

3wayのピックアップセレクター、1ボリューム/2トーン、またセンタートーンにはプッシュ/プッシュのPOTが使われており、

リア時でもフロント・ピックアップのON/OFFが可能です。

常時フロントをONすることにより、フロント+リアなどの通常のSTタイプには無いバリエーションを持ち、

幅広いサウンドメイクが可能となっています。

筆者はまさに直撃世代であり、L’Arc〜en〜Cielは大好きなバンドで、ギターのKenさんファンでもあって所有していました。

アルバムはすべて好きではあるのですが、その中でも特に好きなのが初期のDUNE、Tierraでもあり、

「As if in a dream」や「Voice」、「Blurry Eyes」や「Vivid Colors」などをスコアブックを見ながら練習したことを思い出します。

同年代のプレイヤーは所有していた人も多いのではないかと思います。

70年代のストラトの作りを踏襲しながらも、癖の少ないアルダーボディを採用しており、万能な特性です。

シグネチャーモデルという点を置いても、ストラトタイプとして非常に使いやすいモデルです。

ただ、ストラトタイプとしてはやや重量があること、

色が退色してしまったこともあって、機材整理を機に、「譲ってくれ!」と言われ知人に譲る形で手放しました。

このモデルは後年にサンバースト+アノダイズドピックガード仕様、ギャラクシーレッド仕様と発展していき、現在Kenさんが使用されているフェンダーのシグネチャーモデルの元となりました。

BUCK-TICK 今井寿モデル BT-120MM

最後にご紹介するのは、80年代後半に大ブレイクしたバンド「BUCK-TICK」のギタリスト にしてメインコンポーザーでもある今井寿さんのシグネチャーモデルです。

メジャーデビュー期から現在に至るまで、一貫してFERNANDESのギターをステージで使い続けています。

今井さんご本人はレフティを使用していますが、右利き用のレギュラーも販売されています。

中古流通はレギュラー用が圧倒的に多いです。

こちらのモデルは90年初頭辺りに製造されたモデルで、

バイオリンのようなヘッドにビザールっぽいボディシェイプを持った特徴的な1本。

廉価版にはありませんが、ギターシンセやテルミンを内蔵したモデル、

フレットレスやダブルネックギターまで存在し、

当時としてはエレキギターの概念を覆す革命的なモデルでもありました。

アルダーボディに24Fのメイプルネック、ローズウッド指板を採用。

ピックアップはフェルナンデスのアクティブPU「F.G.I. Technology」が2基搭載されています。

(これは布袋モデルと同様のピックアップになります)

F.G.Iピックアップとのマッチングもあり、クリアでシャープなサウンドです。

エフェクター乗りの良いアクティブPUを採用していることもあり、幅広いジャンルに対応できる懐の深さもあります。

ボディの見た目とは裏腹に、抱えてみると意外とバランスが良く扱いやすいです。

もう一つ代表的なモデルが「STABILIZER」。ボディとネックが一体になったような、非常に個性的なモデルです。

他には見られない独自性の高いデザインは、同郷の先輩でもある布袋寅泰さんに影響を受けたといわれています。

今井さんの音楽ルーツがロックよりもテクノであるため、シンセサイザー的に使えるような機能が満載。

こちらのモデルには廉価版はありません。

ちなみに、もう一人のギタリストでもある星野英彦さんも同じくFERNANDESのギターを使用し続けています。

個性的なシグネチャーを使用していた今井さんとは対照的に、星野さんはテレキャスターやSG、レスポールタイプのトラディショナルなギターが主になります。

30年以上、BUCK-TICKというバンドのサウンドの屋台骨であったといえますね。

個人的には日本のバンドで一番好きなのがBUCK-TICKなので、非常に思い入れがあります。

中学1年の時にアルバム「Six/Nine」を聴き、独自の死生観に基づいた退廃的な詩世界、

90年代初期〜中盤で世界的にヒットしたグランジを、他のバンドよりも早めに取り入れた先見性、

アンビエントを用いた、凡そロックバンドとは思えない独特な音楽性に撃ち抜かれました。

元々が同郷の先輩バンドでもあるBOOWYのようなビートロック・ニューウェイヴからはじまり、90年代初頭から、他のバンドに先駆けてアプローチしていたこともあり、

日本でのデジタルロック・オルタナティブロックの草分け的存在でもあります。

以後もアルバム毎にゴシック、インダストリアルなどサウンドアプローチを変え、ダークであることは一貫しつつ、多種多様なジャンルを内包した、唯一無二の音楽性を持つバンドといえます。

2023年にボーカルでもあり、バンドの顔でもある櫻井敦司さんが逝去されてしまい、

残念ながら4人となってしまいましたが、

バンド活動は継続していくようなので、今後も応援していきたいと思います。

(ラルクやBUCK-TICKを語ると非常に長くなるのでこの辺りにしておきます・・・)

FERNANDESはなくなっても、生み出された作品は受け継がれていく

いかがでしたでしょうか。

今回紹介した以外にも多数のシグネチャーモデルが存在し、そのどれもが特徴的なモデルになります。

80年代初頭から始まったジャパメタ、80年代後半から90年代前半にかけてのバンドブーム、

その延長線上にある90年代中盤から2000年代初頭までのヴィジュアル系ロックバンドの台頭、

こうして振り返ると、日本のロックシーンを彩ってきたのはフェルナンデスとともにあったと言っても過言ではないと思います。

たとえ楽器を演奏せずとも、当時の音楽に触れた多くの人が、

フェルナンデスのギターやベースのサウンドを聴き、目にしてきたことは間違いありません。

メーカーがなくなってしまっても、フェルナンデスを使い、ミュージシャンが生み出した作品は、音楽や映像メディアを通して、これからも次代へ受け継がれていくことと思います。

筆者一個人としては、いつか何かしらの形で復活してくれることも期待していたいと思っております。

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もちろん、ネックが反っている、ギターアンプに繋げても音が出ないなどの状態のギターでも大丈夫です!

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