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奥深いイヤホンの世界!50本以上使用してきたオーディオ専門買取店の査定士が厳選したイヤホンはコレ!
イヤホンというと、外出の際に音楽を楽しむ為に使う用途が多いはずです。現在ではスマートフォンもあるため、実際に通勤通学している人の半分以上はイヤホンを装着している方を見かけます。また、オンラインミーティングやテレワークで、マイク付きのイヤホンを使用している方も多くいらっしゃると思います。でも、購入時にどんなイヤホンがいいか毎回迷っていませんか?
今回もイヤホンの構造・種類別の特徴やメリットを、筆者の手持ちの機種を2機種を実際に見ながらご紹介させて頂きます。
目次
ワイヤレスとケーブルありどっちがいい?
現在主流になっているのは、Bluetoothで接続するワイヤレスイヤホン/ヘッドホンになります。
昨今のスマートフォンではそもそもイヤホンジャックがないものも多くありますし、やはりケーブルが無いというのは、取り回しの上でも非常に実用性が高いです。
現在各メーカーから様々な機種がリリースされており、当初こそ音質がケーブルタイプに比べて劣ると言われていましたが、今では音質が良いものも多いです。
ケーブルタイプはワイヤレスが普及するまでは主流でしたが、ミドルクラスからハイエンド機種はケーブルタイプが殆どになります。
上位機種などはケーブル交換できるものが多く、ケーブルによって音質が変化、向上するという点では、オーディオとしての観点が強くなっていると思います。
イヤホンの形状別特徴
密閉型(カナル型)
カナル型とも言われる、イヤーピースで耳を塞ぐタイプのものとなります。
現在では最もスタンダードなタイプです。
カナル型イヤホンはイヤーピースを耳の奥に入れ込んで使用するため、音漏れ・遮音性に優れ、密閉度が高いため低音再生にも優れます。
ケーブルタイプのイヤホンでは、ケーブルが衣服等にあたる時の音(タッチノイズ)が伝わってしまいます。
耳の後ろ側にケーブルを回して使用する、耳掛け型タイプではタッチノイズは聞こえません。
開放型(インナーイヤー型)
インナーイヤー型とは、カナル型と異なり、耳の奥へ入れ込むイヤーピースがありません。
耳の入り口にある耳甲介(じこうかい)と呼ばれる部分にイヤホンを引っ掛けて装着します。
圧迫感がなく周囲の音が聞き取りやすい、音場が広いといった特徴があります。
また、カナル型のように耳を塞がない為、ケーブルのタッチノイズはありません。
一方で遮音性の低さや音漏れが大きいといったデメリットはあります。
また、耳に引っ掛ける形になるので、耳の大きさによってはフィットしづらいことがあります。
カナル型が主流になるまではスタンダードなタイプでした。
現在では低価格帯でのラインが殆どですが、一部高価格帯のものも存在します。
音を出すドライバー部分の種類
ダイナミック型(D型)
入力側から電気信号を受けたボイスコイルが、
ダイアフラム(振動板)を前後に動かす事で空気を振動させて音を鳴らします。
ユニットの大きさで音質が変わり、大きくなるほど低音~高音の再生能力は高くなります。
一般的に広く普及しているタイプで、低価格帯の多くのイヤホンがダイナミック型を搭載していますが、
13~16mmの大型ドライバーが搭載されたモデルだと、高級機種でも採用されているケースもあります。
低域は力強く豊かですが、ドライバーの大きさや特性によっては中・高音域が伸びづらいものもあります。
バランスドアマーチュア型(BA型)
補聴器用のシステムをオーディオ用に改良・転用したもので、
電気信号を受けたボイスコイルがアーマチュアという小さな鉄片を動かし振動板を振動させ、音を鳴らします。
ダイナミック型よりもドライバー自体が小さく、細かく振動させることが出来るので、
音の分離が良く繊細でクリアな音が特徴です。
音の再現性が高く、中音~高音の再生が得意だとされています。
特性上、モニターイヤホンに採用されることが多いです。
また、ダイナミック型と比べ小型な為、低域1基、中域1基、高域1基といった形で帯域別に複数搭載する事も可能です。
構造が複雑なため、ハイクラスの機種に採用されることが多いです。
ステージ上でミュージシャンが付けているイヤーモニターは、このタイプであることが殆どです。
この他にも、ダイナミックとBAを掛け合わせたハイブリッド型も存在します。
低域はダイナミック、中・高域はBAが担い、低音の力強さと、クリアな中・高音という、それぞれの得意な部分を受け持っている構造になっています。
BA型同様に複雑な構造の為、ミドルクラスからハイエンドの機種に採用されることが多いです。
筆者の私物イヤホンのおすすめポイント
一昔前の高級イヤホンのスタンダード
SENNHEISER IE80
こちらは2010年にリリースされた、ゼンハイザー社のIE80というイヤホンになります。
2017年にはマイナーチェンジ版であるIE80Sがリリースされ、未だに根強い人気を持つ1本です。
先にドライバーの種類をご説明しましたが、
ゼンハイザーはダイナミック型への拘りが非常に強く、BA型のイヤホンはリリースされていません。
こちらのIE80も当時としてはダイナミック型を代表する機種の一つでした。
音質としては低音>中音>高音の順番で音の強い、ピラミッド型の性質を持ちます。
そのため現代的なイヤホンと比べると高音の解像度は落ちますが、
尖ったような出音はなく、ナチュラルな音質でクセもなく聴きやすいです。
芳醇な低音が特徴で、なおかつハウジング部に低音の調節機能を持ち、
好きなように低音をブーストすることが可能です。
付属している専用の工具で調節可能で、時計回りに回していくと、低音が向上します。
その音質から、ロック等を聴くには非常に相性が良いです。
また、イヤホンとしては音場が広く、まるでヘッドホンで聴いているような感覚があるのと、
密閉感・圧迫感が少ないのも個人的には好きなポイントです。
ケーブルを交換することが可能で、ケーブルの材質によって音質を変化させることもできます。
現在でも純正ケーブルから、社外のアップグレードケーブルも販売されているので、
断線してもリケーブルで対応できますし、社外品であれば音質向上を図ることができるのも大きなポイントです。
筆者は純正ケーブル(銅線)から銀線の社外ケーブルに交換しています。
特徴の低音は多少弱まりましたが、高域の解像度が増し、全体的に引き締まった音質になっています。
後継機種のIE80Sも含めて、既に生産終了になっている製品です。
もともと人気があって売れたモデルでもあるので、今だと中古市場では活発に動きがあります。
中古ではかなりリーズナブルな価格でもあり、
IE80、80Sに接続できるBluetooth用のレシーバーもありますので、ワイヤレスでも使用可能です。
ナチュラルな音質が欲しい、低音の強いイヤホンが欲しいという方にはおススメできます。
MDR-CD900STの血を受け継いだ、ダイナミック型イヤホンの完成形
SONY MDR-EX1000
2010年にリリースされた当時の最高級モデル MDR-EX1000です。
2018年に惜しくも生産が終了してしまいましたが、8年とイヤホンとしては長期間販売されていたモデルです。
販売開始当時としてはかなり高価なモデルでもありました。(当時の実売価格 約55000~60000円程)
前回ご紹介したモニターヘッドホンMDR-CD900STのイヤホン版といえる、MDR-EX800STの兄弟機として生み出されました。
SONYとソニー・ミュージック スタジオとの協業という、900STと同じ座組で生み出されたものになります。
モニターイヤホンの800STとは違ったチューニングがされており、リスニング用途に秀でています。
音質としてはフラット。高音、中音、低音が非常にクリアでバランスの良い音質です。
響きや伸び感も気持ちよく、解像度も非常に高いです。
音源ソースによっては高音域が若干ナーバスだったりしますが、エージング(慣らし)が進むうちに改善します。
800STをベースに作られているため、モニターよりの音質ではありますが、
煌びやかな高音、締まりのある低音と、リスニングよりのチューニングがされており、
原音重視の800STとは住み分けされています。
また、構造としては、ハウジングにポートがいくつか設置されている半開放型となっており、
音場が広く、なおかつ立体感を感じます。
上記のIE80も広い音場を持ちますが、IE80が室内のホールで聴いているような広さとするならば、
EX1000は野外のスタジアムで聴いているような広さを感じます。
このイヤホンも脱着式のケーブルが採用されております。
取り付け部がやや特殊な形状をしており、汎用的なケーブルではありません。
純正ケーブルは本体と一緒に販売終了してしまいましたが、
社外品が今でも販売されているので、万が一断線してしまっても安心です。
個人的には一番好きなイヤホンなのですが、この機種だけを聴いても良さがわかりにくいかもしれません。
完全にフラットな音質で、バランスも高レベルで取れてはいるのですが、
低音重視やドンシャリ(高低音重視)な音質に比べると、際立った個性はありません。
他のイヤホンやヘッドホンをいろいろ試した後にこの機種に触れると、このイヤホンのハイスペックさに気付けると思います。
現状ソニーからはダイナミック型でのハイエンド機種が出ていないため、
EX1000がソニーのダイナミック型の完成形と言えるのではないかと思います。
ワイヤレスもケーブルもそれぞれの良さがある
今回はケーブルタイプのイヤホンについてご紹介させて頂きました。
筆者がポータブルオーディオに傾倒していた時は、まだワイヤレスは数が少なく、
音質面でも有利だったケーブルタイプのものがまだまだ主流の時代でした。
ですので、筆者の手持ちのイヤホンもケーブルタイプが殆どになります。
今ではBluetooth対応のワイヤレスイヤホンを使う方が大多数かとは思いますが、
圧縮せずに音データを伝えられ、より忠実な音を再生できるのはケーブルタイプならではのメリットです。
また、充電の手間も要らず時間を気にせず使えるのが魅力です。
音の遅延もなく、ネット動画や映画、通話なども快適に楽しめます。
余談ですが、2月初頭に札幌では大雪が降り、車で通勤するのが困難な状況だったため、
普段使わない交通機関で通勤していたのですが、その際に久方ぶりにイヤホンを使用し、
改めて良さを実感したので、今回のブログのテーマとさせて頂きました。
(BA型はすべて手放してしまっていたため、手持ちとしての紹介や比較ができませんでした。すみません。)