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人気再燃!?カセットテープの種別解説と中古市場で人気のカセットデッキをご紹介
読者の皆様、最近カセットテープ、レコード等のアナログメディアの人気再来をご存じですか?
カセットテープは1960年代、語学学習やBGM用途をはじめとし、1970年代には価格も安価で、持ち運びが容易であること、長時間の録音ができることから、爆発的なヒットとなった製品です。
家の片付けをしていると、まとまった数のコンパクトカセットテープ(以下カセットテープ)が出てくることがありますが、すでに片付けされてしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実際、査定にお伺いすると段ボール2箱分昨日の燃えないゴミに出しちゃったよ!なんて方もいて、心の中で『もったいない~~!』と叫んでいる次第です。
当社では、カセットテープやオープンリールテープなどのソフト関係も喜んで査定をお受けしております。
捨てる前に、一度是非拝見させてください。
今日はそんなカセットテープについて語ります。
目次
まず、コンパクトカセットテープとは?
コンパクトカセットテープとは、1962年にオランダのフィリップス社が開発し、1965年に特許公開したオーディオ用記録媒体の規格です。
フィリップス社のリリース後は、各オーディオ機器メーカーがカセットテープデッキの開発に力を入れ、音楽の普及に多大なる貢献をしました。
コンパクトカセットテープは20世紀後半の音楽市場を支えてきましたが、
最近のアンケートでは、有効回答数300のうち、『見たことあるけど使ったことが無い』という回答が半数をしめていたようです。
1970年代はラジオの録音、通称『エアチェック』が流行。
1980年代はラジオ番組専門誌 『FM Fan』『週刊FM』『FMレコパル』等がFMファン必携の雑誌となり話題に。
また、『貸レコード屋』というのも存在しました。
(信じられないかもしれませんが、あの傷つきやすいレコードをレンタルしていたわけです)
1982年に国産CDプレーヤーSONY CDP-101が発売され、レコードからCDに音楽メディアの移行も進み、簡単に使えるCDラジカセを使って自宅でCDからカセットテープにダビングすることも大変流行りました。
シチュエーションに合わせたオリジナルテープを作ったことも思い出深いです。
私も、1996年 中学生の頃、SONYのWM-FX1というカセットテープの再生とFM/AM/TVの音声チューナー付きのカセットウォークマンを両親に買ってもらい、小室哲哉氏率いるglobeのアルバム「globe」をレンタルし、ダビングしたものを読んで字のごとく、『擦り切れるまで』聞きこみました。
ノーマル、ハイポジ、フェリクローム、メタル?
カセットテープは、主に4つの種類に分類されます。それぞれのタイプ別に特徴を紹介します。
<ノーマルテープ・Type I>
特徴
良くも悪くも、いわゆる普通のカセットテープ
中音域に特徴
安価である
用途
音楽録音・再生
語学学習
<ハイポジ・ハイポジション・TypeII>
特徴
音楽録音・再生向け
高音が綺麗に表現できる
スケルトンを多用した若者向けのデザインが増加
用途
音楽録音・再生
(時代的にCDからの録音を想定されていた模様)
<フェリクローム・クローム・Type III>
特徴
2層塗り磁性体という物理的な特徴をもつ
より高音質に、音楽録音・再生向け
ノーマルとハイポジのいいとこどりな設計思想
SONYのDUAD,BASFのFerrichrome (FeCr)が有名
用途
より高音質に音楽録音・再生
<メタル・Type IV>
特徴
低ノイズで、音にパワーがある
デザインは無骨だが、若者向けのデザインもあり
デッキの性能・機能に左右され、テープの本領発揮のためにはメタルポジション対応デッキが必要
用途
高音質な音楽録音・再生
メタルテープをカセットデッキで使うには?
先ほど、4種類のカセットテープの種類をご紹介しましたが、
ノーマルとハイポジ、フェリクロームの3種に関しては、普及帯のデッキでの録音再生が十分にできる物が多く開発されました。
ただし、メタルテープに関しては酸化していない純鉄が使われているため、
カセットデッキのヘッドが対応している必要があります。
もし、この組み合わせがマッチしない状態で使用してしまうと、故障することはないにせよ、
カセットテープの本来の性能を活かせないという事態に陥ります。テープを選ぶ際はお持ちのカセットデッキに種類が対応しているかよく確認してから購入するようにしましょう。
最近リリースされたおススメカセットデッキは?
さて、カセットテープを楽しむとしたら、どのようなデッキを準備する必要があるでしょうか。
調べた結果、大変残念なお知らせです。
アナログメディアが流行っていると、冒頭でお伝えしておりましたが
民生用機器として現行商品は2018年に販売開始されたティアック社の下記2台です。
※あまり聞いたことのないメーカー品や、ラジカセは存在しますがここでは割愛。
まだ、販売終了のお知らせも出ていませんので、故障してもメーカー修理対応は可能でしょう。
AD-850-SE
引用:オーディオテクニカ 商品サイト AD-850-SE | 製品トップ | TEAC – プレミアムオーディオ
W-1200
引用 オーディオテクニカ 商品サイト W-1200 | 製品トップ | TEAC – プレミアムオーディオ
修理してでも使いたいおすすめ中古カセットデッキはこちら
新品のラインナップが少ないなら、中古で・・とお考えの方もいらっしゃるかと思いますが
実はカセットデッキを日々査定している当社が見る限り、ほとんどは不良なことが多いです。
テープを送ってくれたとしても、音が不安定だったり、走行不良でテープが絡まってしまったりします。
そんな中、修理してでも使いたいと言われる名機がありますので何点かご紹介致します。
ナカミチ Dragon(ドラゴン) 1982年 当時定価260,000円
もうすでにメーカーとして機能していないナカミチの傑作とも言える一台。
中古相場での販売価格は動作品で約30万円前後。
なお、修理に関してはネットで検索すると情報はありますが、部品の在庫・入手難易度や、本来の性能を発揮できないという理由から、徐々に対応していただけるところが少なくなってきているようです。
(恐らく現時点では、個人修理人を除くと福岡県のエムエーサービスだけかと思います。)
動作しなくても、この外観。圧倒的存在感。
趣味のオーディオとしては、いつかは手にしたい1台です。
ソニーTC-KA7ES 1995年 当時定価 120,000円
Referenceモデルとして、販売されたソニーのカセットデッキですが、
中古での販売価格は、故障品で13万円程度から、動作品で20万円以上と、実は当時の定価を超えています。
とにかく部品にこだわり、黒と金パネルの2モデルがありましたが、
このころのESシリーズは、いまなお、圧倒的に金パネルが人気です。
私個人としては、黒モデルが好き。
本体中央にメカ部分がレイアウトされているのがポイント高いです。
アイワ AD-F90M 1980年 当時定価148,000円
上位機種にXK-S9000(1991年135,000円)というリファレンスカセットデッキが存在し、その人気は今でも高いのですが、中古市場でひそやかな人気の一台。
AIWAは、もうすでにこのクラスのオーディオを作っていません。
ただ、当時磁気ヘッドの設計・製造には定評がありました。
AKAIのGXヘッド、ナカミチのクリスタロイヘッドに並び、ファンからの声に応えていました。
実は、1か月くらい前の査定で、ひっそりと佇んでいた本機を買取させていただきました。
無骨なデザインに大型のVUメーターが男らしさを感じます。
今回買い取りさせていただいたデッキは残念ながら、動作に異常がありましたが、完全動作品に出会えたら、買ってしまうかも…!
番外編 ソニー TC-D5M(通称カセットデンスケ)1980年 当時定価108,000円
生録(なまろく)といえばこれ!下位機種にTC-D5があり、D5Mはメタルテープ対応です。
小型のボディに、豊富な入出力と、肩掛け状態でも確認しやすいアナログのレベルメーターと、小型ではありますが内蔵スピーカーも搭載。
100V、乾電池、カーバッテリーに対応し、機関車や野鳥のさえずり等、録音された方も多い機種かと思います。
私は2000年前後、高校放送部時代にMDを導入する前はこのデンスケでインタビュー収録に実際に使用していました。
今でも欲しい(実用というよりは、手元に置いておきたい)1台です。
現在カセットテープはどのような販売方法がある?
現在、カセットテープがどのように流通しているかというと大きく3種類あります。
1、家電量販店やドラッグストア等での録音用テープ
主に、カラオケや踊りなどお稽古事用に、片面5分両面10分というテープが主に販売されています。
ネット通販を使うと、さらにラインナップが増えます。
2、演歌・歌謡曲を中心とした音楽ソフトとして
まだまだカセットデッキやラジカセ、車のオーディオで聞きたいというニーズに応えて、演歌・歌謡曲等はカセットテープでも販売されています。
3、リサイクルショップの在庫として
リサイクルショップがお客様や古物市場から仕入れたものが、店頭に並びます。
中には、当時の梱包のままシュリンク(外装)が破られておらず、未使用だったり
販売当時の値札が貼られているものも混ざっていることもあります。
お店のスタイルとして、取り扱いが苦手な場合、意外とお得に手にすることができるかも!?
中古市場でよく売買されるカセットテープは?
4種のうち、価格のバラツキはありますが、特にメタルテープが人気です。
理由として、すでにメタルテープ自体を生産することができないのが一番の要因です。
また個人が録音したものも買い取りしておりますが、『何が録音してあるか分からないカセットテープを中古で買ってどうするのか』とご質問いただくことがあります。
実は、カセットテープが磁石の力に弱いことを利用したバルクイレーサーという機器を使って、中身を一発で消去できてしまいます。
もちろん、無音状態で録音し続けるという手もありますが、時間がかかることと、機器やテープの劣化にもつながります。
無音テープにして、今販売されていないメタルテープや、ロングプレイのテープとして再利用されます。
中古市場で特に人気なのが、下記2種です。
TDK MA-R 初代は1979年~ おおよそ2,000円~3,000円
アルミダイキャストのフレームと硬質プラスチックの構造でずっしりと重く、所有感も満たすアイテム。
なお中古市場では、
使用済みが3,000円程度~ 未使用品ですと1万円超えてます。(1本あたり)
メーカーが再生産しない限り、値が下がることはなさそうです。
SONY Metal Master 1990年 1,400~2,000円程度
セラミックのフレームがすがすがしい逸品。
ラベルを貼るスペースすら、提供していませんが
インレタと呼ばれるレタリングシートが付属していて
転写して使います。
中古市場では、
使用済みが2,000円程度~ 未使用品ですと15,000円超えてます。(1本あたり)
なお、未使用品をまとめて集めたい方も世の中には多数いらっしゃるようで
複数本や、梱包箱状態で流通できれば、1本あたりの単価はさらに上がる可能性があります。
値段がつきやすい状態 ベスト4
1、メタルテープ 未開封
2、使用済みメタルテープ
3、ノーマル・ハイポジの長時間テープ
4、その他のノーマルテープ、演歌・歌謡曲等の音楽ソフト
メーカーが積極的にカセットテープの生産をしない昨今、すでに録音されていてもメタルテープの中古市場でのニーズが高まっています。
演歌や歌謡曲をカセットテープで聞く方々はこれから減少していくと考えていますが、
今はやりのサブスクリプションで音楽を楽しみつつ、再販されたレコードやカセットテープはコレクションの一つとして、集める方は増えていくと思われます。
どんな状態のカセットテープでも、音楽大好きな査定士がオーディオ製品と共に査定させていただきます。
思い出のつまったカセットテープは処分せずに、是非ニーゴ・リユースに買取をお任せください!
YouTubeでも音楽とカメラの歴史を紹介していますので是非ご覧ください!