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ジャンク品だったヤマハのアコースティックギターをメンテナンス!リぺア手順や使用した道具をレビュー!
ストロークはできるけど、リードプレイは苦手。だけど、ギターという楽器が好きなまこTです。
今回は、リサイクルショップで中古のアコースティックギターを買ってきました。どんなギターか、実際に行った軽いメンテナンスの内容をご紹介いたします。
目次
アコースティックギターの種類とは?
クラシックギター
私達のお客様の年齢層で一番多い、70代以上の方は殆どと言っていいほど一度は触っている楽器ではないでしょうか?
一般的には、6本の弦のうち太い順に3本は巻線弦といい、細いナイロンを束ねた上から銀メッキの導線を巻き付けたもの。そこから細くなる3弦はナイロンでできており、音が丸く柔らかくでることが特徴です。
弦の振動の広さをカバーすることから指板が広く、ベースラインを活かしつつメロディラインを目立たせた音出しが可能です。「禁じられた遊び Romance de Amor」のテーマは誰しもが耳にしたことがあるでしょう。
アコースティックギター
ギブソン J-45、マーティン D-28などに代表される
箱状のボディに、鉄弦6本構成のギターです。
俗に、「アコギ」「フォークギター」と呼ばれるものです。
私は、高校生時代にフォークデュオの「ゆず」を知り、ほとんどの曲をコピーしました。
多分今でも、6,7割の曲は弾き語りができるはずです。
エレクトリックアコースティックギター
「アコギ」「フォークギター」にピックアップを搭載した通称「エレアコ」というものもあります。
演奏スタイルが、一人二人の弾き語りからバンドスタイルに変化する上で、アコギの音を大きく出すことと、ステージ上で動きやすくするというニーズから、ピックアップ(マイク)を搭載する事となりました。
一般的には、サドルの下に「ピエゾピックアップ」を内蔵して振動を音として増幅させる形式がほとんどですが、Gibson J-160Eのようにエレキギター用のピックアップ(P-90)を取り付けることもありました。
リサイクルショップでYAMAHA FG-151のジャンク品を買った
さて、今回はピックアップがついていない、いわゆる「アコギ」を買いました。
当時どんなスペックで販売されていたのでしょうか。
YAMAHA FG-151 オレンジラベル (1977~78年の個体)
トップ エゾ松 2ピース 合板
サイド/バック アフリカン・マホガニー
ネック ナトー
指板 インディアン・ローズウッド
価格 おそらく15000円
製造国 日本
※当時、ギターの型番の数字にゼロを2つつけると金額になるモデルが多く存在しました。
時代背景として、
『神田川』のかぐや姫(1970年~)
『22才の別れ』の風(1975年~)
などがヒットし、空前のフォークブームだった頃です。
ちょうど、自分の父親と同じくらいの世代である70代の方々が見て触っていた楽器で
クラシックギターより、フォークギターという時代に移った頃、比較的購入しやすい価格帯だったようです。
そんなFG-151の気になるジャンク理由が
・古いギターで傷ヨゴレあり。
・若干ネック反ってます。
・弦高が高いです。
う〜む、そりゃ50年近く経つギターですし、そこら辺は許容範囲!
ピックでストロークすれば、これくらいのスレ・キズはよくある話。
ただ、時代を感じるのがネックの太さと弦高、そしてボディのくすみです。
音出しするために弦だけ適当に張り直しましたが、なんだかやっぱり弾きにくいんです。
そこで、今まで弾くだけだった私が初のメンテナンスに挑戦することとしました。
メンテナンスの前に中古ギターのチェック
1、弦高の確認
今張ってあるゲージ不明の弦、レギュラーチューニングの状態で6弦12フレットで約3.3mmでした。
2、ネックの反り具合チェック
ネックは、目視でフラットの状態より、ちょっと順反りくらいがいいとされています。
このギターは、少し順反りです。
トラスロッドカバーを開けてみたら、嫌な予感しかしないので、このままにしておきます。
3,指板清掃/フレット磨き
ジャンクとはいえ、フレットがそれほど錆びていないのでもしかしたら店頭に並ぶ前に簡単な清掃がされているのかもしれませんが
弦を外して、フレット周辺をブラシを使って汚れを落とします。
フレットも輝きがなく、くすんでいます。
フレットも磨きます。
マスキングテープを指板に順に貼っていき、フレットだけを露出させます。
金属みがきといえば、定番のピカール!
柔らかい布を使ってフレットを磨いていきます。
フレットは、弦が当たる部分がすり減って凹んでしまいますので、いわゆる『リペア』ではフレットのすり合わせまでしますが、今回は輝きだけ取り戻せればOKです。
4、サドルの高さ調整
弦を張ってみてやけに高いなぁと感じた弦高ですが、6弦12フレットで弦高が3.3mmでした。
現在のアコギの標準的な弦高である2.0mmを目標にします。
紙やすりを使って、サドルとナットを削ります。
本来計算式はあるのですが、今回は目分量でいきます。
削って
戻して
駆け足ですが、2.0mmまで削りました。なお、この間に、弦を2回張り替えています。
そして、やってしまいました。
ナットを削りすぎて、開放弦を鳴らしたときに3・4弦の1Fでビビってしまい耳障りな音がします。
あとで、シムでも挟んで対処することにします。
※シムとは、ギタークラフト・リペアするうえで隙間埋めや厚み調整に使う材料のこと。
今回は、紙で対処しようと思っています。
5、ペグ磨き
ペグも、経年によるくすみがあります。こちらもピカールを使って磨きます。
このようなペグの汚れ・プツプツはあまり力を入れなくても、落ちます。
このようなプツプツ具合が
このようにピカピカになります。
ペグの動きは問題なさそうなので、今回は分解・注油はしないでおきます。
6,指板とブリッジをオイルで保湿
ギター用品として専用の保湿剤があったはずなのですが、見当たらず
その代わり家具を仕上げるために買っていた天然のヒバオイルがあったのでそちらを塗布。
Woodfoodオイル(青森ヒバ)https://woodfood.jp/collections/oils
結構吸い込みはいいですね。
ローズウッド系の木材は、乾燥によってヒビや割れが起きることがあるため
弦交換のタイミングで清掃と保湿することをおすすめします。
指板とブリッジにたっぷりと塗布。
塗って乾いて、少しまた湿り気が出てくるので拭き取ります。
ローズウッドは、オイルを吸うことで見た目も光沢がでて、高級感が引き立ちます。
7、くすんだボディを磨く
このギター、ボディのトップが全体的にザラザラするのです。(写真の上半分)
価格帯からして、おそらくポリウレタン塗装だと思います。
ザラザラしてくすんでいるので、手元にあるコンパウンドで磨いてみようと思います。
こちらも柔らかい布に付けて磨きます。
結構ピカピカになるもんですね!
ザラザラしていると、指の腹でもこすった音が出ますが
磨いてピカピカになると、ワックスを掛けたあとの体育館の床のような輝きと滑り感があります。
下は、私が艶出しするときに、結構なんでも使っちゃうコンパウンド(ピアノ用です)
8、弦を張りなおす
ギターの小物入れにあった、いつ買ったかすら忘れてしまったダダリオのエクストラライトを使います。ギターの弦って、使わずに袋に入れておいただけでも錆びるので、毎週ライブをしているアーティストでもない限り、大量の買い置きは控えたほうがベターです。
9、完成!
全体的に、みずみずしくなったような気がします。
ただ、トップ材が、やはり床板みたいな感じがどうも安っぽいですね。
ヘッドもテカテカ、ペグもピカピカ
ナットの下、シム代わりに挟んだ紙が見えてる・・・御愛嬌♪
なお、名刺くらいの厚みの用紙で調整して、ビビリ対処できました。
指板、フレットもいい感じに実用レベルまでになりました。
サドルを削って弦高を下げましたが、実はデメリットもあります。
チューニングが同じでも、弦のテンションが変わります。
ナットに用紙を挟む挟まないでもだいぶ変わります。
トップ材もコンパウンドで磨きましたので、テッカテカのピッカピカです。
メンテ済みギターを弾いてみた感想
さて、1970年代のギターを1本メンテナンスしました。
記事を書きながら、調整・試奏がてら、『なごり雪』『22才の別れ』『あずさ2号』『メリーアン』『星空のディスタンス』あたりを弾いてみるんですが、自分でメンテナンスしたら、愛着が湧いてきてしまいました。
古いギターでも、全然現役で使えてしまう一本になりました。
初心者グレードで2万円代でフルセットでアコースティックギターを買えてしまいますが、
こういったビンテージ品を復活させるのも手かなと思った次第です。
とはいえ、実はアコースティックギターは1本メインのYAMAHA FG-512が手元にあります。
何本もあってもなぁと思いながら話してみると、幼馴染の音楽仲間が『ぜひ使いたい』と声を上げてくれたので、お盆休みにでも持っていってあげようかと。
多分、鳴りと弾きやすさでびっくりするだろうな。
まとめ
さて、今回は偶然知人が引き受けてくれる事になったためメンテナンスも無駄になりませんでした。
ただ、私どもが毎日お客様からお話を伺うとほとんどのケースで、使っていなかったギターを、知人が、親戚が、子どもたちが使ってくれるという話は殆ど聞きません。
ギターに限らず、古い楽器でも実際に弾きたい人もいれば、メンテナンスが好きな人もいます。
私達にお任せいただければ、無駄にすることはなく、次のオーナーの手元へ届けさせていただきます。
長年しまいっぱなしだったギター、ホコリまみれでも無理に清掃・メンテナンスする必要はございません。
弦が錆びている、切れているなんて関係ありません。
ぜひ一度、ニーゴ・リユースに無料査定・買取させてください。
喜んで拝見いたします。
※申し訳ありませんが、私どもでは楽器のメンテナンスはお受けしておりません。
あくまで筆者の趣味の範囲で実施しております。
ご理解いただけますよう、お願い申し上げます。
YouTubeでも音楽とカメラの歴史を紹介していますので是非ご覧ください!